運命の出会いからの30年

川井利之は、1993年、18歳の時に人生を変える決断をした。元全日本代表監督・小浦武志氏に弟子入りし、兵庫県宝塚テニスカレッジの門を叩いたのである。そこは伊達公子や浅越しのぶといった世界トップ選手を輩出した、心・技・体のトータルコーチングを学ぶ聖地だった。

若き利之は、テニスという競技を通じて、人間の可能性を最大限に引き出す術を学び始めた。しかしこの時点では、自分が30年以上かけて構築していく壮大な統合的世界観の、ほんの入口に立ったに過ぎなかった。

見えない力との出会い

1995年、20歳の利之はシンパシーユニオン会長・長谷川一彌氏との出会いを果たす。ここで彼が学んだのは、大脳生理学、量子物理学的メンタルトレーニング法である。目に見えない「心」の力が、目に見える「現実」を変える——この真理が、彼の中に深く刻まれた。

1997年、23歳で奈良県ダイヤモンドテニスクラブのジュニアヘッドコーチに就任。テニスコート4面で500人を超えるジュニア育成プログラムを構築し、当時世界一の充足率を記録する。その後わずか3年間で1,500人超、テニスコート4面で2,000人という驚異的な規模に成長させた。在職中、延べ3万人超の生徒を指導したが、利之の心には常に問いがあった。

この問いが、彼を次のステージへ導いた。

身体と心の統合

1998年、兵庫教育大学名誉教授・原田碩三氏との出会いが、新たな視点をもたらした。足元という物理的基盤が、心という精神的基盤と深く結びついていることを学ぶ。身体と心は一体である——この原則が、利之の中でより明確になっていった。

1999年、24歳の利之に大きな転機が訪れる。高岡英夫氏、甲野善紀氏、宇城憲治氏といった古武術界の巨匠たちから直伝を受け始めたのだ。

古武術が教えてくれたのは、西洋的なスポーツ科学とは全く異なる身体観だった。

古武術的身体脳を体得するごとに、自分自身のテニスパフォーマンスが劇的に向上し、名だたる名選手に勝利をおさめていく。

ここで利之は確信する——人間の本当の真の力は、脳だけでなく身体全体に宿っている。人間の真のIQは身体脳にあるのだと。

2005年、30歳の利之は13年間を費やして独自のコーチングメソッドを完成させた。「スポーツと古武術の融合」をコンセプトに、会社「パーソナルリラクゼーション」を設立。愛称「トッシーコーチ」として始動し始める。

音と言葉と感情の統合

2006年、絶対テンポ開発者・片岡伸介氏との出会いが、新たな扉を開く。音やテンポによる脳力開発をコーチング現場に取り入れることで、メソッドはさらに深化していった。

2010年、播磨御神式内合気柔術の尾畑雁多氏に弟子入りし、同時期にNLP(神経言語プログラミング)を学ぶ。古来の日本の身体技法と、最新の心理学的アプローチが融合する。

「言葉が身体を変え、身体が心を変え、心が現実を変える」

この循環的な真理を、トッシーコーチは自らの実践を通じて証明し続けていた。

究極の統合へ

2014年、39歳のトッシーコーチの人生に、最も重要な転機が訪れる。世界的機能脳科学者・苫米地英人博士の公認内弟子となったのだ。

機能脳科学、認知科学、計算言語学——最先端の科学的知見が、トッシーコーチがこれまで身体で学んできた古来の叡智と美しく融合し始めた。「現状の外側にゴールを設定する」「スコトーマ(心理的盲点)を外す」といった苫米地式コーチングの革新的理論は、トッシーコーチの30年間の実践知に、明確な理論的裏付けを与えた。

同じ2014年、ロシア功労芸術家でスタニスラフスキー演劇システムの伝道師・レオニード・アニシモフに師事。感情のエネルギーを最大に表現する演劇技法を学ぶ。身体、思考、感情——人間を構成するあらゆる要素が、トッシーコーチの中で一つに統合されていく。

ウエルネスコーチングの最前線

2016年、世界最年少のラフターヨガマスタートレーナー・大久保信克氏のもとで、ラフターヨガ世界認定リーダー資格を取得。笑いという最も原始的で最も強力な心身統合のツールを手に入れた。

2017年、現役横綱白鵬の専属栄養士・山田豊文氏に師事。日本人に適した油の摂取法、伝統食=発酵食の力を学ぶ。「伝統食が日本人の心を育む」という確信が、新たな使命感として芽生える。

2019年、発酵カフェレストラン小春日和の顧問兼マネージャーに就任。発酵食、クスリ絵、身体脳の覚醒——この三位一体の付加価値を、奈良県宇陀市から世界に届けるプロジェクトを開始した。

現在、利之は7つのコーチングを展開している:ビジネスコーチング、ウエルネスコーチング、衣食住コーチング、睡眠コーチング、ファイナンスコーチング、スポーツメンタルコーチング、電磁波改善コーチング。

特にウエルネスコーチングは、彼の真骨頂である。それは単に病気でないだけでなく、心身ともに健康で、精神的・社会的にも豊かに、自分らしく輝くように生きるためのライフスタイルをコーチングするものだ。肉体的健康だけでなく、精神的健康、社会的な人間関係、仕事の充実、自己実現など、多様な側面から自身の健康を維持・増進させるための意識的な行動や生き方を指導している。

人類救済のプロジェクト

トッシーコーチの人生ミッションは明確である。身体脳の覚醒こそが真のIQであり、「脱力・臍下丹田・正中線」という古武術的身体感覚を取り戻すこと。古武術、発酵食、睡眠、住環境、人間関係——あらゆる要素が「身体脳」を覚醒させるために統合されている。

現代社会では、Wi-Fiや5Gアンテナなどの有害電磁波の影響で、生命力の根拠である松果体が機能低下し、うつ病や不眠症に悩む人々が急増している。有害電磁波による癌の発症率は全体の8割を占めるとされる中、トッシーコーチは立ち上がった。

麹菌やマコモ菌、音楽療法、住宅医学を活用した量子医療で、有害電磁波障害者に手を差し伸べること。それがトッシーコーチの使命である。

その究極のビジョンは壮大だ。発酵菌サロン空間で生涯無病地生活を実現するサロンを全世界100ヶ所で展開し、全人類80億人の身体脳を目覚めさせることである。日本古来の合気マインドを世界に広げ、人間そのものがパワースポットとなる世界を創造する。

古武術的身体脳を体得した調理人が発酵食を提供し、古武術的身体脳を体得した演奏者がバイオ楽器で倍音を奏で、古武術的身体脳でマコモ菌を扱う——これが「菌音イヤシロチ キララサロン計画」として、全世界での展開を目指している。

本来あるべき姿は、生命力に満ち溢れ、自然の動植物と共存し、発酵菌の生きた日本古来の食文化によって、すべての病気から免れることができる世界だ。

全ての日本人が循環型住環境の中で、本来人間が持って生まれた自然治癒力で無病地な人生を生き切ること。つまり人間そのものがパワースポットになること。これが真の日本人力になることは確信している。

18歳でテニスコーチの道に入った一人の青年は、30年以上の歳月をかけて、人類救済のプロジェクトへと到達した。その物語は、今も進化し続けている。

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